セロコンバージョンとは?

セロコンバージョンとは、HBe抗原がマイナス、HBe抗体がプラスになった状態です。

これはB型肝炎ウイルスの活動が抑え込まれた状態を意味しています。

・・◇セロコンバージョンとは何か?


B型肝炎の予後(治療後の経過)を語るとき、必ず触れるのがセロコンバージョンです。

セロコンバージョンがどんな位置づけになるのか、図1をご覧ください。


図1.セロコンバージョンの位置づけ

図1をご覧頂いてお分かりのように出産時や乳幼児にB型肝炎ウイルス(HBV)に感染した人の多くはセロコンバージョンと呼ばれる状態となって無症候性キャリアとなります。

●セロコンバージョン=Seroconversion
Sero=血清
conversion=転換・変更

B型肝炎ウイルス(HBV)が活発に活動し、増殖を繰り返している時期は血液中のHBe抗原がプラスになっています。それがマイナスに変わり、HBe抗体がプラスになった状態がセロコンバージョンです。(HBe抗原・HBe抗体については後述)

これはB型肝炎ウイルス(HBV)の活動が人間の免疫機能によって抑え込まれた状態を意味しており、肝炎が治まった状態と言えます。専門書によれば、一昔前はセロコンバージョン状態になればB型肝炎は治癒したものと思われていたそうです。

つまりセロコンバージョンが治療の目的地、ゴールだった時期があるのです。

一般的にキャリアのセロコンバージョン率は年に8~15%程度と言われています。また、特に治療をしなくても30歳までにキャリアの約80%が自然経過でセロコンバージョンしてHBe抗原マイナス、HBe抗体プラスになります。


・・◇セロコンバージョンが治癒とは言えない理由


しかし、その後の研究でセロコンバージョンに至った患者が慢性肝炎を再発したり、肝硬変に移行したりする場合があることが分かってきました。セロコンバージョンは治癒とは言えないことが分かったのです。

なぜセロコンバージョンが治癒とならないかと言うと、B型肝炎ウイルス(HBV)の変異株が誕生することがあるからです。せっかく免疫力によってB型肝炎ウイルスを抑え込み、肝炎が治った状態になっても、ウイルスのDNAが突然変異し、これまでとは異なる変異株が生まれるのです。

この変異株によってB型肝炎ウイルス(HBV)はまた増殖を繰り返しはじめ、慢性肝炎や肝硬変を発症させるのです。

『C型肝炎・B型肝炎』(主婦の友社)によれば、セロコンバージョン状態で肝炎が治まった人でも、血液中のHBV-DNAが多い人は、変異株が増殖を続けている可能性があり、慢性肝炎だけでなく時として劇症肝炎を発症する危険もあるそうです。⇒『劇症肝炎とは?』

セロコンバージョンが起こってもこの変異株が再び増殖して肝炎が増悪する人は、セロコンバージョンが起こった人全体の20%~30%にみられるそうです。従ってセロコンバージョン状態になっても定期的な観察が必要となります。

なお、この変異株のウイルスが性的接触などでパートナーに感染した場合は劇症肝炎や重症の肝炎を起こすことがあるそうです。

・・◇HBe抗原とHBe抗体とは?


ここでセロコンバージョンを説明する上でキーになるHBe抗原とHBe抗体について説明しておきましょう。図2をご覧ください。


図2.B型肝炎ウイルス(HBV)の増殖パターン

図2はB型肝炎ウイルス(HBV)が増殖を繰り返すパターンを表しています。図1の左半分は肝臓の細胞の中でB型肝炎ウイルス(HBV)が自分のコピーを作る工程を表し、右半分は肝細胞で作られた新しいB型肝炎ウイルス(HBV)やHBs抗原が血管の中に放出される様子を表しています。肝臓細胞の中で増殖する工程の詳細はこちら⇒『B型肝炎ウイルスとは?』

図2をよくご覧頂くと、肝細胞の中で作られたHBc抗原が血管中に放出されていないことにお気づきでしょう。代わりにHBe抗原が放出されています。

これはどういうことかと言うと、実はHBc抗原はそのままの形では肝細胞から出ていくことが出来ません。そのため自分の一部を切り離して出ていきます。これがHBe抗原です。すなわち、HBe抗原とはHBc抗原から切り離されて生まれた抗原です。

キャリアでHBe抗原がプラスの人は血中ウイルス量が多く、感染性が高くなります。無症候キャリアの場合は肝炎を発症する可能性が高くなります。また、慢性肝炎でHBe抗原がプラスの人は肝炎の活動性が高いことが分かります。

そしてこのHBe抗原に対抗する抗体がHBe抗体です。HBe抗体が現れたということはウイルスの活性を抑える免疫力がついてきたことを表しています。

ただしHBe抗体にはウイルス感染を防ぐ力はありません。

以上、セロコンバージョンとHBe抗原について説明致しました。

最後にセロコンバージョンについてまとめておきます。

●B型肝炎ウイルス(HBV)に感染した人で、HBe抗原がマイナス、HBe抗体がプラスになった状態をセロコンバージョンと言います。

●セロコンバージョンはB型肝炎ウイルス(HBV)の活動が人間の免疫機能によって抑え込まれた状態を意味しており、肝炎が治まった状態と言えます。

●ただし、セロコンバージョンの後もウイルスの変異株が現れ、慢性肝炎や劇症肝炎を起こすことがあります。従ってセロコンバージョン後も血中のHBV-DNAの検査など注意が必要です。

本ページの記事作成にあたっては、次の本を参考にさせて頂きました。

「わかりやすい肝臓の病気」茶山一彰(同文書院)・「C型肝炎B型肝炎」中嶋俊彰(主婦の友社)・「ウイルス性慢性肝炎の自己管理」片山和宏(医薬ジャーナル社)

なお、B型肝炎はHIVとの重複感染が多いことが分かっています。そして重複感染した場合にはB型肝炎の症状がより重症化することがあります。

HIV感染症は自覚症状がありませんでので、HIV検査を受けて早期発見につなげることが大事です。

*B型肝炎・梅毒はHIVとの重複感染が多く、より重症化することがあります。

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