B型慢性肝炎の治療にあたっては、HIVとの重複感染に配慮が必要です。

B型慢性肝炎の治療に使われる薬にはHIV感染症にも使用される薬があります。もし、B型肝炎ウイルス(HBV)とHIVが重複感染しているのに気付かず、抗HBV目的でのみ薬を使用するとHIV治療に支障をきたすことがあります。

◇ある座談会の記録から

ちょっと古い情報なのですが、2007年5月にアボットジャパン株式会社が企画した医師や医療コンサル5名によるHIV検査の座談会がありました。テーマは「HIV検査のタイミングとコツ」というものです。

この座談会の中で、HIVとHBVに重複感染している場合の注意点についてお話が出ています。それはどんな注意点かと言うと、B型慢性肝炎の治療に使われる薬についての注意です。

感染症コンサルタントの青木 眞 氏によると、

『HIVでは単剤で治療はしませんが、肝炎では単剤で安易に使ってしまいますね。それであるときHIVの重複感染に医師が気付いても治療が難しくなっている・・・。』

と指摘されています。これはどういう意味かというと、HIV感染症の治療では何種類かの抗HIV薬を同時に使います。なぜかと言うと、1種類だけの薬ではウイルスがすぐにその薬に対して耐性を持ち、効果がなくなるからです。

かつてHIV感染症が致死的疾患でエイズ発症後2年以内にほぼ100%に近い確率で死亡していたのも薬が全く効かなかったからです。

それが1997年頃からART(antiretroviral therapy)という多剤併用法によって治療が可能になりました。これは3種類の薬を同時に投与することでウイルスが耐性を持つことを防ぎ、HIVの増殖を抑えるものです。

ところが、HVBの治療においてはこのような多剤併用法ではなく、単剤での治療が普通に行われます。もしもHIVの重複感染に気が付かずHBVだけを考えて薬を使うと、いざHIVに気がついて治療を行おうとしたときに、すでにHIVが耐性を持っている可能性があります。

するとHIV治療に使用できる薬の種類に制限が出てしまい、通常よりも治療が困難になってしまう可能性があるのです。

前出の青木氏はこうも指摘しています。

『慢性肝炎の治療のガイドラインというものがあるんですが、第1版には「HIVを検査した上で薬剤を選択すべき」ということに関しては何も書かれていませんでした。』

ここで青木氏が指摘している「慢性肝炎の治療のガイドライン」ですが、私がネットで検索してみるとこれが見つかりました。

『慢性肝炎治療のためのガイドライン』(日本肝臓学会 平成19年)

これが青木氏の指摘しているガイドかどうか確証はありませんが、もしもこれを指しているなら確かに記述がありません。青木氏の推測では、そうした認識を持った人がガイドラインを作った人の中にいなかったのではないかと言うことです。

何やらちょっと信じられないことですが、ホントでしょうか。


◇国立感染症研究所のホームページから

実は、この座談会の青木氏のご指摘は別の方面からもあがっています。国立感染症研究所の関連ホームページで、2009年9月に次のような記事が掲載されています。

『B型肝炎の治療に、ラミブジン(3TC)、アデホビル、エンテカビルが用いられているが、HIV感染者に合併した慢性B型肝炎は、HBV単独感染例と治療方針が異なる点に注意を要する。』

これは先の青木氏のご指摘と全く同じ内容を意味しています。HIV治療における薬品耐性には十分な配慮が必要だということです。

◇自覚症状がない性感染症

先の座談会において、ある出席者は次のように指摘されています。

『今やB型肝炎は性感染症です。しかし、消化器内科医にはあまりそうした意識はなく、HIVが合併しているかも知れないという意識もない。』

のだそうです。むろん、全ての消化器内科医がそうだとは言えないでしょうが、中にはそうした医師もいるのでしょう。

何しろB型慢性肝炎は自覚症状がないことも多く、HIV感染症に至っては基本無症候です。検査を受ける以外にあなたが感染しているか、感染していないか知る方法はありません。

もしも、あなたにHIV感染の不安や心当たりがあるなら、例え医師からHIV検査の勧めがなくても検査をお勧め致します。残念ながら100%医師だけを頼るのは危ないかも知れません。

*ご存知ですか?ウイルス性肝炎は一般的な健康診断では分かりません。
■STDチェッカー タイプL(男女共用)
B型肝炎・C型肝炎の検査が出来ます。

*B型肝炎は梅毒・HIVとの重複感染が多く、より重症化することがあります。
■STDチェッカー タイプO(男女共用)
HIV・梅毒・B型肝炎の3つが同時に検査出来ます。

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