HIV感染症における死因の中でC型肝炎の比率が年々高まっています。

厚生労働省の関連サイトに、『HIV・HCV重複感染時の診療ガイドライン』というサイトがあります。この記事の中から、HIVとHCVの重複感染がどのくらい報告されているのか、またどのような問題があるのかをご紹介したいと思います。

◇HIVとHCVの重複感染

日本全国にエイズ拠点病院は375あります。その拠点病院で2003年に1回以上受診したHIV感染者についてHCVとの重複感染を調べた結果が下の表です。

厚労省科学研究エイズ対策研究事業「HIV 感染症に合併する肝疾患に関する研究」班(小池和彦班長)が平成15年度に行なった全国拠点病院アンケート調査の結果です。

感染ルート 患者数 HCV抗体陽性(%) HCV-RNA陽性
血液製剤 811 786(96.9%) 667
MSM 2,730 114(4.2%) 98
静注薬物
使用
20 9(45.0%) 8
その他 1,316 25(2.0%) 7
合計 4,877 930(19.2%) 780

表1.HIVとHCVの重複感染(MSM:Men who have Sex with Men=男性とセックスする男性)

患者全体を見るとHIV感染者4,877人中930人がHCV抗体陽性になっており、約20%近くに重複感染が見られます。やはり血液製剤による重複感染が最も多く重複率は97%です。男性の同性間性的接触による重複感染も4%を超えています。

HCVはHBV(B型肝炎ウイルス)に比べると感染力が弱いため、全体としてはB型肝炎よりも感染率は低いようです。しかし、いったん重複感染した場合には非常に危険です。


◇慢性C型肝炎による死亡例が増加

HIV感染症はかつて致死的疾患でした。HIV感染の告知は数年先のエイズ発症、そして死を意味していたのです。免疫力がどんどん低下し、日和見感染症によって死に至る恐ろしい病気でした。

しかし、1997年ごろからART(Anti-Retroviral Therapy)と呼ばれる治療法が登場し、予後(治療の経過や見通し)は劇的に改善されます。ARTは3種類の薬を組み合わせて服用する治療法でカクテル療法とか多剤併用法とも呼ばれます。効果としては体内のHIV増殖を防ぐことができます。

ARTによってそれまで治療法がなかった免疫不全状態から免疫力を復活させることが可能になりました。これによって日和見感染症による死亡は激減しました。(図1参照)

エイズ病変データ
図1.病変死亡者の報告件数(厚生労働省エイズ動向委員会データによる)

かつてART登場前は25歳でHIVに感染すると平均余命は7年だったのが、ART登場後は40年と推計されています。(「HIV感染者の早期発見と社会復帰のポイント」医薬ジャーナル社による)

こうしてHIV感染において日和見感染症の死亡例が激減した今日、いったい死亡原因はどうなっているのでしょうか。アメリカ、ヨーロッパ、日本における実状が『HIV・HCV重複感染時の診療ガイドライン』の中に記載されています。

●アメリカ
米国のCHORUS (Collaborations in HIV Outcomes Research-United States) database, 2001によれば、1997年8月から2000年12月までに135人のHIV 感染例が死亡しているが、その死因の約半数はエイズ関連の日和見感染症ではなかった。その約90%が肝疾患関連で、多くは慢性C型肝炎であった。

●ヨーロッパ
HIV 感染症患者の死因の中に末期肝疾患の占める割合は、

1991年⇒11.5%(75%がHCV 抗体陽性)

1996年⇒13.9%(57.7%がHCV 抗体陽性)

1998-9 年⇒50%(93.8%がHCV 抗体陽性)

というように年々肝疾患による死亡比率が高くなっており、とりわけC型肝炎による死亡例が増えています。

●日本
肝疾患による死亡率は、以下のようにART登場の前後で変化しています。

1997年以前(ART以前)⇒14%

1997年以降(ART以降)⇒29%

日和見感染症で死亡する患者は減り、肝疾患で死亡する患者は2倍以上に増えています。

同診療ガイドラインの最後には、次のような記述があります。

『HIV感染症はARTの登場によって劇的に予後が改善されたが、HCVとの重複感染における症状は同等の改善は見られない。』

『HIVとHCVが重複感染した場合は、HCV単独感染の場合よりもHCV量が多いのが一般的で、抗HCV療法の効果が薄い。今よりもっと抗ウイルス効果の強いHCV新薬の登場が待たれる』

このように結ばれています。

かつてはHIVに感染すると数年のうちにエイズを発症し、日和見感染症で死んでいました。しかし、現在はHIVに感染しても日和見感染症で死ぬことは激減したのです。その代わりに肝疾患、とりわけ慢性C型肝炎が脅威になっています。

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